大人になるということ

みなさんには、子供の頃に読んだ、忘れられない本ってありますか?



先日マチコは、そんな“忘れられない本”を手に入れました。

正確に言えば、“ふいに思い出して、探さずにはいられなかった本”ですけれど。



記憶に残るそれは、写真による絵本です。

一人の少女と、その少女とほぼ同じ大きさの日本人形。

登場するのは、この二人だけ。

そしてタイトルは確か、その人形の名前だったはず…。



幻想的な写真。

日本人形への畏れ。

謎めいた文章。



当時、自分のモノではなかったその絵本を、

それがある場所へ行くたびに、何度も開いて読んだ記憶があります。

子供心にも、あやしくて美しい絵本でした。





「なおみ」 作:谷川俊太郎 写真:沢渡朔 (福音館書店





オリジナルは1982年に出ていて、絶版だったようですが、2007年に復刊されていました。

どうやら、この絵本を“忘れられなかった”のは、マチコだけではなかったようです。

今、改めて読んでみると、子供の頃に感じていた怖さはなく、

ただただ、儚く、美しい絵本です。



当時は知る由もありませんが、今、作者が谷川俊太郎だと分かり、深く納得しました。

確か高校生の時だったと思いますが、国語の教科書で出会った彼の詩を強烈に覚えています。





「芝生」「かなしみ」





「なおみ」も、これらの詩に通ずるものがあると思います。

大人になって読んだ今、怖さは感じなかった…

このこと自体が「かなしみ」なのかもしれません。





さて、大人になったマチコは、新たな「なおみ」を発見しようと色々調べてみました。

絵本の舞台は、古い洋館なのですが、その撮影が行われた洋館は、

今も三浦郡葉山町に現存しているそうです。

そういえば、絵本の中に海辺の写真が出てきます。

葉山の海だったんだぁ。

今まで、葉山と聞けばマリンスポーツを思い浮かべていましたが、

貴重な洋館がある、別荘地でもあるんですね。

いつか訪れてみたい街、葉山町





“忘れられない本”を手に入れたら、どこかに置いてきた“忘れもの”に気付いた、今日のマチコでした。



たまにはノスタルジーも、いいもんです。